子供の病気は働く親にとって最大の難関。
身体のことは心配だけど、どうしても仕事を休めない。
そんなときに知っておきたいのが病児保育です。
病児保育ってなんだろう?
病児保育とは、病気にかかっているお子様に対して、保育士、看護師、栄養士などの専門家が保育と看護を行い、お子様の健康と幸せを守るためにあらゆる世話をする、子育て支援です。単に保護者の代わりにお子様の世話をするのでなく、身体、精神、さらには社会経済、教育、倫理など、病気のときにこそ必要なお子様へのトータルケアを目的としています。一般的には、風邪をひいて熱を出したり、インフルエンザや水疱瘡、おたふくなどの感染症を患ってしまい、保育園や幼稚園に通うことできないお子様が利用します。
病気のこどもを預けて安心なの?
医師、看護師、保育士、栄養士など各分野の専門家たちが万全の体制でサポートいたします。保育士1名に対してお子様3人の保育を原則とするなど、年齢や症状に合わせた無理のない入室人数を心がけております。また、クリニックの医師が朝の診断結果に基づいて一日の過ごし方を指示し、お子様ひとりひとりの体調と個性に合わせた看護と保育を提供しています。午前と午後に1回ずつ、医師または看護師による回診も行います。帰宅時には医師から一日の様子をお伝えし、容態を記録した連絡ノートもお渡しします。
病児保育と世論
全国的にも認知されつつある病児保育ですが、未だに「病気の子供は親が看るべき」「施設に預けるのは育児放棄」などの偏見的な考え方によって、普及が妨げられているのも事実です。しかしながら、女性の社会進出が進んでいく中で、病児保育という概念が生まれたわけであり、労働条件や環境がガラリと変わった現代社会において、ひと昔前の常識を持ち込むことは非常にナンセンスであると言えます。私たちは今後も社会の成長と共に、病児保育への理解を深め、育てることを使命とし、活動を続けてまいります。
病児保育と行政
地方において新しく病児保育を始める場合、その自治体のほとんどが専門の知識を持っておりません。この問題を解決するためには、各施設が行政に書類を提出する際に事業の必要性を訴え、児童福祉施設などとの連携を図る必要があります。病児保育はあくまで行政サービスであるという観点で物事を進めるべきなのです。どこでどんな疾患が流行しているか、病児さんに対して母親はどんな悩みを抱えているか。各施設がこれらの情報をしっかりと把握し、地域社会に溶け込むことこそが、今後の病児保育の発展につながると考えております。
病児保育の定義
厚生労働省が刊行する保育所保育指針において、2000年度より「乳幼児健康支援一時預かり事業」として、病児保育が定義づけされました。この病児保育の定義は「病児保育ってなんだろう?」の項で示したように、広義に解釈することができます。すなわち、 基本的には母親の就労の有無に関わらず、 子どもの自宅療養はもとより、 病児保育室におけるケア、 そして入院治療を受けている子どもたちの生活援助のすべてを対象として考えるべきということになります。(全国病児保育協議会発行・新病児保育マニュアルより抜粋)
病児保育の歴史
1966年に、東京都世田谷区のナオミ保育園(父母の会)によって開設された「病後児保育室バンビ」、大阪府枚方市の香里団地保育所(父母の会)と、そのメンバーでもある保坂智子先生が中心となって開設した「病児保育くるみ」が、日本の病児保育のルーツと言われています。それから数十年の時を経て、現在では2,000施設以上の病児保育施設が全国に広がっています。とはいえその数はまだまだ足りず、病児保育を必要とする方たちの数%しか利用できていない現状から、今後のさらなる増加が求められています。